カスタマイズの基本6:クイックプロパティ

クイックプロパティとロールオーバーツールチップ

AutoCADだけでなくAutoCAD LTでもできるカスタマイズの基本6として、今回はクイックプロパティのカスタマイズをご説明します。クイックプロパティに関連する項目としてロールオーバーツールチップがありますが、カスタマイズ方法はほぼ同じですので、クイックプロパティのカスタマイズ方法を理解すれば、ロールオーバーツールチップもカスタマイズできるようになります。

 

システム変数による表示の制御

クイックプロパティやロールオーバーツールチップを表示させたくないときなど、システム変数によって振る舞いを制御できます。システム変数とその値についても触れておきたいと思います。以下に紹介するシステム変数の保存先はレジストリなので、図面に関係なく設定した値が有効になります。

 

変数名=QPMODE(保存先:レジストリ、初期値:-1)

オブジェクトを選択したときにクイックプロパティを表示するかどうかを制御します。

値=0:全てのオブジェクトに対して表示をオフ

   1:全てのオブジェクトに対して表示をオン

   2:カスタマイズダイアログ(CUI)で定義したものだけを表示をオン

 

変数名=QPLOCATION(保存先:レジストリ、初期値:0)

クイックプロパティパレットの表示場所を指定します。

値=0:カーソル位置の近くに表示

   1:カーソル位置に関係無く、固定の位置に表示

 

変数名=ROLLOVERTIPS(保存先:レジストリ、初期値:1)

ロールオーバーツールチップの表示を制御します。

値=0:ロールオーバーツールチップを表示しない

   1:ロールオーバーツールチップを表示する

 

クイックプロパティを確認

QPMODEは初期値では-1となっていますので、先ずは値を1に変更して、クイックプロパティの状態を確認しましょう。コマンドラインから QPMODEと入力し、Enterキーを入力します。続いて値を1と入力します。

画面上に線分を1本作成して、線分をクリックします。クリックするとクイックプロパティが表示されます。標準では「色」、「画僧」、「線種」、「長さ」が表示されています。

 

カスタマイズの手順

クイックプロパティのカスタマイズもリボン等と同様にカスタマイズエディタを使用します。必要であればバックアップを取得しておきましょう。手順が不明な場合には、カスタマイズの基本1 リボン前編 を参照下さい。

 

バックアップが取れたら、カスタマイズエディタを表示しましょう。管理タブ|カスタマイズ|ユーザーインタフェースをクリックします。

 

カスタマイズエディタが表示されたら、画面左側のすべてのカスタマイズファイルのところで、クイックプロパティを選択します。すると右側にクイックプロパティの設定値が表示されます。

 

右側の一般のところで、色、画僧、線種にチェックされているのが確認できます。ここで表示されているのは全ての定義済みのオブジェクトに共通されるもので、線分で表示された「長さ」は線分特有のプロパティということが確認できます。

この状態で線の太さにチェックを入れて見ましょう。

 

チェックを入れたら[優先をリセット]ボタンをクリックし、[適用]ボタン、[OK]ボタンをクリックしてカスタマイズエディタを閉じます。

 

線分をクリックすると、クイックプロパティに「線の太さ」が追加されているのが確認できます。続いて円を作成してクイックプロパティを表示させても、「線の太さ」が反映されているのが確認できると思います。

 

今回の操作ではオブジェクト種類を選択しない状態でプロパティを変更し、[優先をリセット]を指示しました。これは各オブジェクト種類に対し設定されていた情報より、今回のプロパティ情報を優先させたという事になります。この操作は全てのオブジェクト種類に共通で指示したい場合に使用し、特定のオブジェクト種類でのみ行う場合には、オブジェクト種類を選択してから実行します。

 

オブジェクト固有の値を表示させる

続いてオブジェクト特有の値を表示させて見ましょう。線分の「角度」が表示されるようにしてみます。先ほどと同様にカスタマイズエディタを表示し、クイックプロパティを選択します。オブジェクトの種類名が表示されている右側のスクロールバーを下げて「線分」を表示します。表示できたら「線分」をクリックして、右側に表示されるプロパティから「角度」にチェックを入れます。チェックを入れたら、[適用]ボタン、[OK]ボタンを順にクリックしてカスタマイズエディタを閉じます。

線分をクリックすると、クイックプロパティに「角度」が表示されている事が確認できます。

私は業務上、直線が水平もしくは垂直であるかを良くチェックするので、「角度」のプロパティを表示させています。またポリラインの大きさをチェックする事も多いので、ポリラインの場合には「面積」も追加しています。

 

特定のオブジェクト種類でのみクイックプロパティを表示させる

特定のオブジェクト種類でのみクイックプロパティを表示させる事ができます。

カスタマイズエディタにてクイックプロパティを選択し、[オブジェクト タイプ リストを編集]をクリックします。

オブジェクトタイプリストを編集ダイアログにて、円のチェックボックスを外します。

[OK]ボタンをクリックし、ダイアログを閉じて[適用]ボタン、[OK]ボタンをクリックしてカスタマイズダイアログを閉じます。

 

AutoCAD上で円をクリックするとクイックプロパティが表示され、「定義されたクイックプロパティが存在しません」と表示されます。

これは、QPMODEが1に設定されている状態の為です。QPMODEを2に変更して、結果を確認してみましょう。

円をクリックしても、クイックプロパティが表示されない事が確認できます。

 

全てで表示させるとうるさいと感じるけれど特定のオブジェクトだけはクイックプロパティを表示させたい場合にはお薦めの設定です。

 

ロールオーバーツールチップと同期させる

設定したクイックプロパティのカスタマイズをロールオーバーツールチップと同期させる事ができます。先ずは標準のロールオーバーツールチップの表示を確認しましょう。

線分にカーソルを近づけると、ロールオーバーツールチップが表示されます。

 

ロールオーバーツールチップを同期させるにはカスタマイズダイアログ上でクイックプロパティを右クリックし、[ロールオーバーツールチップと同期]を選択します。

 

クイックプロパティの設定とロールオーバーツールチップの設定のどちらを適用するかの問い合わせがありますので、「クイックプロパティの設定をロールオーバーツールチップに適用する」をクリックします。

 

AutoCAD画面上でオブジェクト上にカーソルを重ねるとロールオーバーツールチップが表示され、クイックプロパティで設定した項目が表示される事を確認できます。

 

まとめ

ロールオーバーツールチップとクイックプロパティのカスタマイズは同様の手順で行えます。

クイックプロパティを表示するにはQPMODE等のシステム変数の変更が必要となります。

オブジェクト種類共通の設定と、特定のオブジェクトのみにプロパティを設定させる方法があるので、参照したいプロパティを設定しましょう。

特定のオブジェクト種類のみクイックプロパティを表示させる事も可能です。

ロールオーバーツールチップと表示内容を同期させる事も可能です。

著者について

AUG-JP (ユーザー会)

AUG-JPはAutodesk製品のユーザーで構成された独立したコミュニティです。 ユーザ同士の助け合いの場として、ウェブサイト、コミュニティ(SNS)などを運営しています。 多くの企業様にご協力を頂きながら全国各地でユーザ参加型の「学びと交流」を目的としたイベント 「AUG-JP WorkShop」を開催したり勉強会をサポートしています。

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