AutoCADだけではなくAutoCAD LTでも出来るカスタマイズの基本として、これまでUI(ユーザインタフェース)を中心としたカスタマイズの基本操作についてご紹介してきました。今回は本シリーズの最後として、カスタマイズした環境を他のPCへ移行する手順をご紹介したいと思います。Windows7のサポート切れに伴い、Windows10のPCへ移行される方も居られると思いますので、多少の参考となれば幸いです。
カスタム設定ファイルの移行
これまでご紹介したカスタマイズの手順で、バックアップ対象としたファイルを移行すれば良いのですが、AutoCADには[カスタム設定をマイグレート]というユーティリティが用意されています。個々にファイルの移行を行わなくとも、線種やハッチング等も含め、カスタム設定可能なファイルが一括でバックアップできます。また、オプション設定の情報、ユーザープロファイルも移行対象として含まれますのでカスタマイズした内容を一括で移行できます。(AutoCAD LTではプロファイルはサポートされていません)
このユーティリティを使う事により、旧バージョンから新しいバージョンへの移行も可能となります。
移行手順
移行する手順はカスタム設定をしているPCにて、設定情報を書き出し、書き出したファイルを移行するPCにコピーして、読み込むという流れになります。
設定情報書き出し → 設定ファイルを移行先にコピー → 新しいPC(移行先)にて読み込み
設定情報の書き出し
スタートメニューから[カスタム設定をマイグレート]|[AutoCAD2020 設定を書き出し]クリックします。
Windows7の場合
スタートメニュー|すべてのプログラム|Autodesk|AutoCAD 2020-日本語(Japanese)|カスタム設定をマイグレート|AutoCAD 2020設定を書き出し を順にクリックします。
Windows10の場合
スタートメニュー|AutoCAD 2020-日本語(Japanese)|AutoCAD 2020設定を書き出し を順にクリックします。
ネットワーク上のファイルも含めるかどうかの確認がありますので、ネットワーク上のファイルを使っていなくとも影響ありませんので、このままOKボタンをクリックします。
ファイルの保存先の問い合わせがありますので、適当な場所へ保存します。
ZIPファイルが作成されている事を確認し、移行するPCへZIPファイルをコピーします。
設定情報の読み込み
スタートメニュー|AutoCAD 2020-日本語(Japanese)|AutoCAD 2020設定を読み込み を順にクリックします。
カスタム設定ファイルの読み込みの確認がありますので、保存したZIPファイルを指定します。
数秒~数十秒で読み込み結果が表示されますので、正常に読み込まれた事を確認しOKボタンをクリックします。
ログが表示されますので、内容を確認し閉じます。
移行されないファイル
本ユーティリティを使うとカスタマイズの基本で紹介した内容は移行できますが、acad2020.lspなどの起動設定LISPファイルや個別に作成したプログラムファイル等は移行されませんので、個別にファイルコピー等によって移行が必要となります。
ユーティリティによって移行されないファイルについては、以下リンクを参考にして下さい。
まとめ
カスタム設定の移行はユーティリティにて設定を書き出し、移行先にて読み込んで移行する。
ユーティリティを使うことでオプション設定も移行される。
旧バージョンから新バージョンへも同様に移行ができる。
個別に作成したプログラムファイル等は移行されないので、手動で移行する。
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