AutoCAD ビギナーにとって分かりにくい基本的なことについて説明していきます。
第1回はテンプレートについてです。
下の2つの画像を見てください。どちらも同じように何のオブジェクトも表示されてないデータですが、実は大きな違いがあります。
片方のデータには、画層は1つだけ、文字スタイルも寸法スタイルも1つしかありません。
もう一方のデータには、作図に必要な画層がすでに作成されており、文字スタイルや文字スタイルも必要な定義がそろっています。作図に必要なブロック定義もされています。
どちらのデータを使ったほうが、素早く作業できるでしょうか。
このように、テンプレートには目に見えるオブジェクトだけでなく、データ上に様々な定義を入れておくことができ、そうすることで作業のスピードがぐっと変わります。
テンプレートの基本:メートル系かインチ系か
テンプレートは、まずメートル系かインチ系か、この2つのタイプに分けることができます。それが違うと、使用される線種定義ファイルやハッチングパターンファイルが異なります。1インチ=25.4ミリメートルなので、メートル系の線種・ハッチングパターンはインチ系の25.4倍の尺度で作成されています。
線種定義もハッチングパターンも、使う際に定義を図面内に取り込んでから使用します。もし途中で定義ファイルを変更した場合、それまでに作成されたオブジェクトは、自動的に新しいパターンなどには置き換わりません。インチ系で作図されたデータからメートル系のデータにクリップボードを介してコピーなどを行った場合も、勝手にコピー先の定義に揃えられることもありません。ですので、メートル系とインチ系の線種定義やハッチングが混在すると、同じものでも表示のされ方が違うので、注意が必要です。
開いているファイルがメートル系かインチ系かを調べるには、システム変数MEASUREMENTを確認します。確認の方法は、コマンドラインにMEASUREMENTと入力し、表示された数字を見てください。0ならインチ系、1ならメートル系になります。
自分仕様のテンプレートはどう作る?
では、自分が使いやすいテンプレートはどう作ればいいのでしょう?
普段自分がよく使用する文字スタイルや寸法スタイルがあるファイルを1つコピーして、それを開きます。そこに、自分の必要とする他の文字スタイルや寸法スタイルで描かれた文字オブジェクトや、寸法オブジェクト、ブロック定義などを他のファイルからクリップボードコピーを使って集めます。デザインセンターを使って読み込むこともできます。画層なども一緒に読み込んでおきましょう。
また、ページ設定やレイアウトも読み込んだり設定したりしておきます。
そこまで終わったら、新規図面として開くときに、不要なオブジェクトはいったん削除します。図枠のブロックなど、必要なものは残します。オブジェクトを削除しても、文字スタイルや寸法スタイル、画層の設定は残りますので、安心してください。ただし、名前削除コマンド* は厳禁です。
* 名前削除コマンドとは?→ Autodesk Knowledge Network で確認
そして、名前を付けて保存します。このときに、ファイルの種類を「AutoCAD(LT)図面テンプレート(*.dwt)」に変更します。
そうすると保存フォルダが自動的にテンプレートフォルダになります。
拡張子がdwtのファイルは、開くとDrawing1.dwg等の仮の名前が与えられます。
もし、テンプレートファイルを変更したい場合は、「開く」→「修正」→「上書き保存」はできませんので、改めて「名前を付けて保存」からファイルの種類を選んで、同じ名前を付けて保存してください。
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