概要 - モデル空間とペーパー空間
図面内のオブジェクトに使用できる「モデル空間」と「ペーパー空間」という 2 つの異なる作業環境があります。
- 既定で、 「モデル空間」と呼ばれる 3D 作図領域で制限なく作業を開始することができます。最初に、1 単位が 1 ミリメートル、1 センチメートル、1 インチ、1 フィート、またはその他の使いやすい単位を表わすかどうかを決定します。次に、1:1 の尺度で作図します。
- 印刷用に図面を準備するには、ペーパー空間に切り替えます。ここでは、タイトル ブロックや注記を使用して異なるレイアウトを設定できます。また、各レイアウトには、モデル空間の異なるビューを表示するレイアウト ビューポートを作成できます。レイアウト ビューポートで、ペーパー空間を基準としてモデル空間ビューの尺度を設定します。ペーパー空間の単位は、用紙の上での実際の距離(ページ設定に応じてミリメートルまたはインチ)を表します。
モデル空間は[モデル]タブ、ペーパー空間はレイアウト タブからアクセスできます。


概要 - ペーパー空間から印刷する
ペーパー空間(レイアウト上)で図面の出力準備をする場合は、一般的には、次の一連の手順を実行します。
- モデル空間で図面またはモデルを作成する。
- レイアウト タブをクリックして、ペーパー空間に切り替える。
- 印刷デバイス、用紙サイズ、作図領域、印刷尺度、図面の方向など、レイアウトのページ設定を指定する。
- タイトル ブロックをレイアウトに挿入する(既にタイトル ブロックを含む図面テンプレートを使用して開始した場合を除く)。
- レイアウト ビューポートに使用する新しい画層を作成する。
- レイアウト ビューポートを作成し、レイアウトに配置する。
- ビューの方向、尺度、画層の表示/非表示を各レイアウト ビューポートで設定する。
- 必要に応じて、レイアウトに寸法や注釈を追加する。
- レイアウト ビューポートを含む画層の表示をオフにする。
- レイアウトを出力する。
モデル空間で図面に注釈を記入し、その注釈の尺度を自動的に変更したい場合は、異尺度対応オブジェクトを使用することもできます。
概要 - モデル空間から印刷する
単一ビューの 2D 図面の場合、レイアウトを使用せずに、モデル空間でモデルと注釈の全体を作成できます。
この方法は簡単ですが、次の制限があります。
- 2D 図面のみに適している。
- 複数のビュー、およびビューと一緒に保存される画層設定をサポートしていない。
- 異尺度対応オブジェクトを使用しない限り、注釈とタイトル ブロックの尺度を設定するための計算が必要になる。
プロセスの概要
モデル空間で作図して印刷する場合は、印刷する前に、尺度係数を決定して注釈オブジェクトに適用する必要があります。次の手順に従います。
- 図面の計測単位(作図単位)を決定する。
- 作図単位の表示形式を指定する。
- 寸法、注釈、ブロックの尺度を計算して設定する。
- モデル空間にタイトル ブロックを挿入し、目的の印刷尺度の逆数に尺度変更します。
- モデル空間で、実寸(1:1)で作図します。
- 寸法、注記、ラベルを、目的の印刷尺度の逆数も尺度設定して記入します。
- 図面をあらかじめ定義した尺度で印刷する。
計測単位を決定する
モデル空間で作図を始める前に、画面に表示される各単位が、インチ、ミリメートル、キロメートルなど、どの単位を表すかを決定します。たとえば、モーターの部品を作図する場合は、1 単位が 1 ミリメートルになるように指定する場合があります。一方、地図の作図では、1 単位を 1 キロメートルに指定することもあります。
作図単位の表示形式を指定する
図面の作図単位を決定したら、単位のタイプと精度など、作図単位の表示形式を指定します。たとえば、14.5 は、14.500、14-1/2、1'2-1/2" のように表示できます。
UNITS[単位管理]コマンドを使用して、作図単位の表示形式を指定します。既定の作図単位のタイプは、十進表記です。
注釈とブロックの尺度を計算して設定する
作図する前に、図面で使用する寸法、注釈、ブロックの尺度を設定する必要があります。あらかじめこれらの要素の尺度を設定しておくと、最終図面を印刷するときに、確実に適切なサイズで表示されます。
次のオブジェクトの尺度を入力する必要があります。
- 文字: 文字の高さは、文字を作成するときに設定するか、または文字スタイル(STYLE[文字スタイル管理]コマンド)で 0(ゼロ)以外の文字高さを設定します。
- 寸法: 寸法スタイル(DIMSTYLE[寸法スタイル管理]コマンド)またはシステム変数 DIMSCALE で寸法尺度を設定します。
- 線種: システム変数 CELTSCALE および LTSCALE で、実線以外の線種の尺度を設定します。
- ハッチング パターン: [ハッチングとグラデーション]ダイアログ ボックス(HATCH[ハッチング]コマンド)またはシステム変数 HPSCALE で、ハッチング パターンの尺度を設定します。
- ブロック: ブロックを挿入するとき、つまり[ブロック挿入]ダイアログ ボックス(INSERT[ブロック挿入]コマンド)または DesignCenter (ADCENTER[デザイン センター]コマンド)で挿入尺度を設定するときに、ブロックの挿入尺度を指定します。
ブロックの挿入時に使用されるシステム変数は、INSUNITS、INSUNITSDEFSOURCE、INSUNITSDEFTARGET です。これは、図面の図面枠やタイトル ブロックにもあてはまります。
注釈の尺度を自動的に変更したい場合は、異尺度対応オブジェクトを使用することもできます。
印刷時の尺度係数を決定する
[モデル]レイアウトから図面を印刷する場合は、図面の尺度を 1:n の比率に変換して正確な尺度係数を計算します。この比率は、印刷単位と、作図中のオブジェクトの実際のサイズを表す作図単位との比率です。
たとえば、1/4 インチ = 1 フィートの尺度で印刷する場合、その尺度係数は、次のような計算により 48 となります。
1/4" = 12"
1 = 12 x 4
1(印刷単位) = 48(作図単位)
同じ計算で、1 センチメートル = 1 メートルの尺度係数は 100、1 インチ = 20 フィートの尺度係数は 240 となります。
モデル空間からの印刷の尺度係数の例
尺度 |
尺度係数 |
文字の印刷サイズ |
文字の作図サイズ |
---|---|---|---|
1 cm = 1 m |
100 |
3 mm |
30 cm |
1/8" = 1'-0" |
96 |
1/8" |
12" |
3/16" = 1'-0" |
64 |
1/8" |
8" |
1/4" = 1'-0" |
48 |
1/8" |
6" |
3/8" = 1'-0" |
32 |
1/8" |
4" |
1/2" = 1'-0" |
24 |
1/8" |
3" |
3/4" = 1'-0" |
16 |
1/8" |
2" |
1" = 1'-0" |
12 |
1/8" |
1.5" |
1 1/2" = 1'-0" |
8 |
1/8" |
1.0" |
メートル単位で作業をしている場合、210 x 297 mm の用紙サイズ(A4 サイズ)で尺度係数を 20 とすると、グリッド範囲は次のように計算されます。
210 x 20 = 4200 mm
297 x 20 = 5900 mm
概要 - レイアウト
「レイアウト」は、図面シートを作成するための 2D 作業環境です。
レイアウト内の領域は「ペーパー空間」と呼ばれ、図面に必要なタイトル ブロックを追加したり、「レイアウト ビューポート」ないのモデル空間のビューの表示倍率を調整したり、表、集計表、注記、寸法を記入することができます。
作図領域の左下コーナーの[モデル]タブの右のタブから、1 つまたは複数のレイアウトにアクセスすることができます。複数のレイアウト タブを使用して、モデルのさまざまなコンポーネントの詳細を、いくつかの尺度と異なるシート サイズで表示することができます。

新しいレイアウトの追加や既存のレイアウトのコピーを行うには、いくつかの方法があります。
- LAYOUT[レイアウト]コマンドを使用する
- レイアウト タブを右クリックします。
- [レイアウトを作成]ウィザードを手順に沿って実行する
- DesignCenter を使用する
各レイアウトには、各レイアウトの表示および印刷のための外観と形式をコントロールする独自の「ページ設定」が格納されます。たとえば、ページ設定を使用して用紙サイズと用紙の向きを指定します。[ページ設定管理]には、PAGESETUP[ページ設定]コマンド、アプリケーション メニュー、およびリボンからアクセスすることができます。
概要 - レイアウト ビューポート
レイアウト ビューポートは、モデル空間のビューを表示するオブジェクトです。レイアウト ビューポートを作成し、尺度を調整し、レイアウト上のペーパー空間に配置します。
各レイアウトに、1つ または複数のレイアウト ビューポートを作成することができます。各レイアウト ビューポートは、指定した尺度と方向でモデルのビューを表示するテレビ モニタのようなものです。

レイアウト ビューポートを作成する
MVIEW[浮動ニューポート管理]コマンドを使用して新しいレイアウト ビューポートを作成する場合、表示するビューを、次のいくつかの方法のいずれかで指定します。
- 矩形領域の対角コーナーをクリックすると、モデル空間のオブジェクト範囲が自動的に表示されます。
- 以前に保存したモデル空間ビューを使用するには、[名前の付いた]オプションを指定します。
- 矩形領域を定義するために一時的にモデル空間にアクセスするには、[新規]オプションを指定します。
- [オブジェクト(O)]オプションを選択し、レイアウト ビューポートに変換する、円や閉じた L 字型のポリラインのような閉じたオブジェクトを選択します。
レイアウト ビューポートを修正する
レイアウト ビューポートの作成後は、そのサイズやプロパティを変更できます。さらに、必要に応じて、尺度を変更したり、移動することもできます。
- レイアウト ビューポートのすべてのプロパティをコントロールするには、[プロパティ]パレットを使用します。
- 最も一般的な変更では、レイアウト ビューポートを選択し、そのグリップを使用します。

ロックしたレイアウト ビューポート
不用意に画面移動やズームが行われないように、各レイアウト ビューポートには[ビューをロック]プロパティがあり、オンまたはオフに切り替えることができます。このプロパティには、[プロパティ]パレット、レイアウト ビューポートを選択している場合は右クリック メニュー、リボンの[レイアウト ビューポート]タブのボタン、および 1 つまたは複数のレイアウト ビューポートを選択している場合はステータス バーのボタンからアクセスできます。
概要 - モデル空間ビューポート
モデル空間では、作図領域を 「モデル空間ビューポート」という 1 つまたは複数の矩形領域に分割することができます。
ビューポートとは、モデルのさまざまなビューを表示する領域のことです。大きな図面や複雑な図面では、さまざまなビューを表示することで、1 つのビューでズームしたり画面移動するよりも時間を節約できます。1 つのビューで見逃したエラーが別のビューで見つかることがあります。
次に、モデル空間のビューポートの設定例をいくつか示します。VPORTS[ビューポート管理]コマンドを使用して、名前によってビューポート設定を保存したり復元することができます。

複数のビューポートを表示している場合、青の長方形でハイライト表示されているビューポートを 「現在のビューポート」といいます。
- 画面移動やズームなど、ビューをコントロールするコマンドは、現在のビューポートにのみ適用されます。
- オブジェクトを作成または修正するコマンドは現在のビューポート内で開始されますが、結果はモデルに適用され、他のビューポートにも表示されます。
- あるビューポートでコマンドを開始し、別のビューポートで終了することができます。
- 任意のビューポートをクリックすることにより、そのビューポートを現在のビューポートにすることができます。
モデル空間ビューポートを修正する
ビューポート設定で、モデル空間ビューポートのサイズ、形状、数を、次のように修正することができます。
- ビューポートの左上の[+]または[-]コントロールをクリックし、いくつかのビューポート設定から選択します。
- ビューポートのサイズを調整するには、ビューポートの境界をドラッグします。
- ビューポートの境界をドラッグするときに[Ctrl」を押したままにすると、緑の分割バーが表示されて、新しいビューポートが作成されます。あるいは、最も外側の分割コントロールをドラッグすることもできます。
- ビューポートを削除するには、ビューポートの境界を別の境界にドラッグします。

新しいビューポートを作成した後で、マウス ホイールをダブルクリックしてオブジェクト範囲ズームを実行し、ビューを最大化して中央に配置することもできます。